2022年11月9日。IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が、情報処理安全確保支援士の令和5年(2023年)の試験日を公式Webサイト上で公開した。
↓ ↓ ↓
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_00topic/topic_20221109.html
筆者はこの情報処理安全確保支援士にチャレンジすべく、すでに過去問集やテキストを購入して勉強をスタートしてきたが、ようやく発売を待っていた翔泳社のテキストも出版され、つい先日SE Shopから届いたので教材が揃った。
この記事では、「情報処理安全確保支援士」の簡単な紹介、チャレンジする価値、テキストについてお伝えしたい。
(『登録セキスペ関須部くんの活躍』より。作・画は筆者)
本記事について
- 本ブログの筆者は当該資格保有者ではなく、勉強中の過程です。
- 本ブログの内容は筆者の調査に基づきます。試験に関する情報は、IPAの公式Webサイトをご確認ください。
「情報処理安全確保支援士」の日程
今回、IPAが公開した「情報処理安全確保支援士」試験の日程は次の通りだ。
令和5年度春期試験
試験日: 令和5年4月16日(日)
申込み受付期間: 令和5年1月16日(月)~2月2日(木)17時
実施方式: 筆記による方式
受験手数料: 7,500円 非課税
令和5年度秋季試験
試験日:令和5年10月8日(日)
実施方式: 筆記による方式
受験手数料: 7,500円 非課税
※万が一変更される可能性もゼロではないので、最新の情報はIPAのWebサイトでご確認いただきたい。
- IPAの「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験」トップ
https://www.jitec.ipa.go.jp/index.html
本記事執筆時のリリース
- 令和5年度 情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験の実施予定について (2022年11月9日掲載)
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_00topic/topic_20221109.html
おススメ記事: No Starch Press という出版社を知っていますか?
「情報処理安全確保支援士」ってどんな試験?
ここで、「情報処理安全確保支援士」がどのような試験かについて簡単におさらいしたい。
- IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が実施。
- 年2回(春・秋)
- 約1万人が受験(1回あたり)
- 約2千人が合格(1回あたり) 合格率約20%
- 合格後、登録すれば「情報処理安全確保支援士」(通称「登録セキスペ」)と名乗ることができる。 ※「登録セキスペ」は紛れもない「国家資格」だ。わが国のサイバーセキュリティを推進する人材として認定される。
- 合格すれば中小企業診断士、技術士などの試験の一部が免除になる特典もある
※詳細はIPAのWebサイトをご参照いただきたい。
果たしてチャレンジする価値は?
もしあなたがIT業界にいるエンジニアならば、チャレンジする価値は大いにあると思う。
1. 情報セキュリティの専門家になれる
合格後、「登録セキスペ」として自身を登録すれば、名実ともにわが国における情報セキュリティの専門家となることができる。
名刺やWebサイトにロゴマークを使えるほか、身に着ける徽章(バッジ)の貸与を受けることもできる(貸与手数料あり)。
なお、登録セキスぺは更新制であり、資格維持のために時間や費用、責任もかかってくるが、合格したらぜひ登録セキスペとして活動することがおススメだそうだ。(参考書の受け売りです)
2. 今後、需要が高まる可能性が大
試しに「登録セキスペ+求人」でググってみると、なかなか提示年収が良さげである。
いまもわが国は、激しいサイバー攻撃にさらされている。じっさい、総合病院がランサムウェアの攻撃を受け手術などの医療行為ができなくなるなど人命に関わる事態も起きている。
一方、多業種によるDX化が進むにつれ、ITシステムの活用ますます多くなり、重要性も増す。それに伴い、セキュリティー人材もますます必要とされることだろう。
おススメ記事: ネットニュース記事の怪~なぜ文の途中に無関係な記事のリンクが表示されるのか?
3. 実務に生かせる
試験である以上、もちろん目指すは「合格」である。しかしながら、情報処理安全確保支援士のテキストを買って勉強を初めて驚いたのが、その内容の充実ぶりである。
これまで分かったつもりでいたセキュリティ用語や仕組み、攻撃手法など、体系的な知識が得られ、視野がどんどん広く、深く拡張していく。じっさい、普通の業務システム開発プロジェクトをやっている中ではこうした体系的で奥深い知見はなかなか得られないものだ。
筆者は過去、運用中のサービスでSYNフラッドのDDos攻撃を受けて顧客対応に大わらわになった経験があるが、こんなことも遭遇してはじめて知るに至ったものだ。あらかじめ知っていることの価値の大きさは計り知れない。
そう「情報処理安全確保支援士」試験は実践的な試験なのである。 勉強するだけでも実務に価値があるのは間違いない。
4. 会社によっては高額な金銭褒賞も得られる場合も
会社によっては、合格祝い金、合格報奨金などの一時金がある場合がある。また、給与のうち資格手当を支給する会社もあるようだ。国家資格が得られる「情報処理安全確保支援士」ともなれば、十万円を超える一時金を支給する会社もある。ぜひご自身の会社の資格奨励制度をチェックしてみていただきたい。(分からなければ人事担当者が教えてくれるはずだ)
5. 転職にも有利
もし、合格して「登録セキスペ」になれば、IT企業ならば社内の情報セキュリティ担当部門でポジションを得られる可能性が高い。もし、いまの職場で相応の評価が得られない場合は、いささかもったいないとも言える。有資格者は市場において引く手あまたである現状を鑑みれば、転職することで年収の大幅アップを狙えるかもしれない。
【注意】本ブログは転職を推奨しているわけではない。ご自身の転職については慎重にご判断いただきたい。
購入したテキストとその感想
今回、いくつかのテキストを購入したので、ざっと感想を述べたい。
翔泳社版 テキスト(教本)
※書影(画像)をクリックすると翔泳社の直販サイト「SE Shop」の書籍ページにリンクします。
Amazonで購入される方はこちら
これらは発売されたばかりなのだが、さすが翔泳社!充実の解説っぷりである。可読性も高く、実用書としてもGoodだ。令和5年版が、他社よりも発売日がやや遅かったものの、買ってよかったと思う一冊である。午後試験は、しっかり理解していなければ回答できないという。価格は 3,168円(税込) とインプレス版と同じである。ただし、翔泳社版はSE Shopで購入すればポイントや割引きが効いて実質的にお得に入手できるかもしれない。
翔泳社版 午前I・II対策(過去問集)
※書影(画像)をクリックすると翔泳社の直販サイト「SE Shop」の書籍ページにリンクします。
Amazonで購入される方はこちら
午前試験は共通試験である。とにかく過去問をひたすら解くというのが効果的なようだ。
たとえば専門用語の意味について問う設問でも、間違いである選択肢も何らか別の専門用語を説明したものであったりするので、1問にして得られる学びは大きい。ここはじっくり繰り返しやることだ。
とはいえ完璧主義を目指すことはないようだ。4つのセクションそれぞれ60点取れれば合格ラインなので、8割あたりを目標に勉強すれば良いだろう。この本の解説は総じて分かりやすいという印象だ。過去問集で購入したのはこの一冊だけである。ちなみに禁忌肢(きんきし)落ち(いわゆる「ドボン問題」)については聞いたことがないのでたぶん今のところ存在しないと思われる。とはいえ情報セキュリティが人命にかかわってきている実情に照らしてみれば、設定されてもよさそうなのだが…。
おススメ記事: レンタルサーバが障害でダウンしたら、SLA適用申請はした方が良い
インプレス版 テキスト(教本)
こちらのインプレス版も、翔泳社版と同じような分厚さで、双璧をなし甲乙つけがたい。
インプレス版は、読者特典として、PDF版、スマホで学べる単語帳ウェブアプリもあるのでお得感はあるかもしれない。
技術評論社版 ポケット攻略本
何しろいちはやく出版されたので助かった。サイズも小さく、持ち運びに便利だ。端的な記述なのでどんどん読み進めることができる。
コンパクトながら意外と充実しているのが良い。
著者が岡嶋裕史氏というのもポイントだ。
なお、技術評論社からは、同著者のテキスト(教本)も出されている。(こちらは未購入)。
↓ ↓ ↓
ところで、著者の岡嶋裕史氏には新書の著書もあり、Web3入門のこちらの新書が近日リリース予定だ。
↓ ↓ ↓
岡嶋裕史氏はITを熟知している専門家なので、噴飯ものデタラメ内容で炎上した某Web3入門書のようなことにはならないだろう(♠)。こう断言できるのは、こちらのメタバース入門が秀逸だったからだ。
↓ ↓ ↓
♠ 話のついでだが、件の炎上した入門書について私見を述べさせていただくと、著者はクリプト界隈では有識者で通っていたことは確かだったらしく、単に専門分野とIT全般の知識との間に著しいギャップがあったというきわめて稀なケースであったかと思う。むしろ責任の一端は編集部のチェックのお粗末さにもあるだろう。また、情報処理試験で扱うような知識も大事であると言えるだろう。
まずは、試験概要に目を通すべし
さて、試験勉強を開始する前に、ぜひおススメしたいのが、試験概要に目を通すことである。IPAのWebサイトを読んでもよいが、たいていのテキスト(教本)の冒頭には試験概要が分かりやすくまとめられている。「合格ライン」、「出題傾向」、「勉強にかける時間配分」「午前試験の免除制度」などが分かる。効率よく勉強を進めるために作戦を立ててとりかかるのがよいだろう。
肝心の申込を忘れずに!
さて、公表されている予定では、申込み受付期間は半月しかない。
カレンダーに書き込んで、申込みを忘れないようにすることを心掛けたい。
2023.01.16 追記
IPAの公式Webサイトによると、令和5年春期試験の申込み受付期間は、令和5年1月16日(月)~2月2日(木)17時 ということだ。
注意点については、こちらの最新記事をご参照いただきたい。
↓ ↓ ↓
インターネット申込受付が開始!「情報処理安全確保支援士」令和5年(2023年)春期試験。申込の注意点とは?
最後に
今回、筆者が、ほんとうに令和5年の春期試験を受験するかは、勉強の進捗次第なのである。
この手の試験はこっそり勉強する人も少なくないだろうが、今回あえて記事にした理由は何もいたずらにライバルを増やそうとしたわけではない。元来なかなか骨のある試験であるし、合格ラインは明確(60点)で、難易度は一定に保たれる調整が入るようなのでライバルの増加を気にするまでもないだろう)
主な執筆動機としては 「チャレンジしてます」と公言することで勉強の勢いづけをしたかったためである。
まあ、ちゃっかりアフェリエイト広告も載せていたりもするのだが…。(書籍購入の際にはいっぺん踏んでくださるとたいへん助かります)
というわけで、もしこのブログをお読みになって試験にチャレンジしようと思われた方がいらっしゃったならば、筆者として望外のよろこびである。
最後に(追記)
「登録セキスペ」は維持費が結構かかるし、罰則もあるため、「メリットが薄い」という意見もあるようだ。だが、合格もせずに意味ないというのはひたすらカッコ悪いだけなので、とりあえず合格を目指して頑張りたいと思う。
※ Amazonのアソシエイトとして、ノカミシステム(野上智史)は適格販売により収入を得ています。

