【注記】この記事は、2022年4月2日掲載(4月30日一部更新)時点のものです。
【4月30日追記】予定より速く出荷が開始されたようです。

『狂えるオルランド』というタイトルをどこかで耳にされたことはおありだろうか。アリオスト作のイタリアの古典叙事詩である。歌劇(ヴィヴァルディ)や絵画(アングル『アンジェリカを救うルッジェーロ』)の題材にも取り上げられたことでご存じかもしれない。今回、版元の名古屋大学出版会によりまもなく新装復刊されるという。 今回の復刊では上下2分冊になるようだ


↑ ↑ ↑
ヴィヴァルディ以前から多くの作曲家が歌劇の題材としてきた。

アリオスト『狂えるオルランド』によるバロック独唱曲集 アルバム
ジュリア・セメンツァート(ソプラノ)/バーゼル室内管弦楽団
(2022年05月13日発売予定)

タワーレコードで購入(予約)する

名古屋大学出版会の「40周年記念」として復刊されることに

アリオストの『狂えるオルランド』は、このたび名古屋大学出版会の「40周年記念増刷」で復刊される10点のうちの1点ということだ。このほかにも「リ・アーカイヴ叢書」と銘打った復刊シリーズを開始する計画とのことだ。詳しくはこちらの公式サイトの記事をご参照されたい。(ペトラルカの『カンツォニエーレ』も同時復刊だ)
  ↓ ↓ ↓
名古屋大学出版会 Webサイト | 〈2022年3月7日〉創立40周年記念増刷、「リ・アーカイヴ叢書」のお知らせ

初版は2001年。すでに版元品切れ。中古本価格が高騰。Amazonでは6万円で出品も!

さて、このアリオストの『狂えるオルランド』。注目すべきは現時点(2022年4月23日)での中古市場価格の高騰ぶりである。なんとAmazonで6万円約5万円もの値が付けられている。ちなみに元の価格は13,200円(税込)である。
中古本の相場をざっと調べたところ次のような状況であった。

ショップ出品者価格
日本の古本屋ヨウキ書店¥33,000
メルカリmatsuriさん¥36,000
AmazonFPリユース¥49,970
Amazonアトリエ白山¥60,000
メルカリたくぼさん¥60,000

初版であることの価値や、もともと函(はこ)入り上下二冊の豪華な装丁である点、中古本としての状態の程度如何を加味してもなかなかの稀覯本(きこうぼん)として取引されていると言ってよいだろう。画像を確認する限りギュスターヴ・ドレの挿絵も入っているようだ。 今回の復刊では「新装版」ということで初版のような函(はこ)入りセットではなく上下二冊分売になるようだ。

[PR] 【人材募集情報】
「A8.net」を開発運用するアフィリエイトソリューションプロバイダーの
株式会社ファンコミュニケーションズが業務拡大につき技術者を募集中。

後世の文学・芸術にも多大な影響を与えた重要作品

『狂えるオルランド』は、上述のとおり歌劇や絵画の題材にも取り上げられたばかりでなく、あのイタロ・カルヴィーノにも多大な影響を与えたと言われている。セルバンテスのドン・キホーテが読みふけったのもこれだ。
こう聞くと、いかにも岩波文庫あたりに収録されていそうであるが実はまだ無い。一方、岩波文庫には、ブルフィンチの『中世騎士物語』(野上弥生子訳)、『ロランの歌』、タッソの『エルサレム解放』、J.マルトゥレイ、M.J.ダ・ガルバの『ティラン・ロ・ブラン』については収録されているので岩波文庫はやはり凄い。

[PR] 手軽に使える宅配型トランクルーム【minikura】

第38回「日本翻訳文化賞」(日本翻訳家協会)を受賞している

脇功氏訳の本書は、日本翻訳家協会の「日本翻訳文化賞」を受賞している。年に1冊ないし2冊しか受賞しない名誉な賞だ。

「面白い」、「読みやすい」エンターテイメント度も高い!?

イタリアの叙事詩というとダンテの『新曲』がイメージされ、しかも大部だと、いかにも挫折しそうな印象をもってしまうが、この『狂えるオルランド』。ネット上の読者レビューを見る限り、「面白い」、「読みやすい」、「一気に読んだ」と好評のようすだ。詳しくは初版の方のAmazonのレビュー等をご確認いただきたい。

(楽天ブックス、Amazon)予約購入可能なリンクはこちら

今回はバリバリの硬派文学ファン向けの情報をご紹介したが、ご興味のある方向けに、Amazonと楽天ブックスで予約可能なリンクを掲載しておく。ただし、予価1冊6,600円(税込)のようなので結局上下で13,200円(税込)で初版と同価格である。

もし上記リンクではなく、他のオンライン書店でキーワード検索される場合でも「新装版」と忘れずに付け加えることをおススメしたい。さもなくば初版の高額な中古本が検索されてしまう場合がある。

※ Amazonのアソシエイトとして、ノカミシステム(野上智史)は適格販売により収入を得ています。

このエントリーをはてなブックマークに追加

こちらの記事もどうぞ
↓ ↓ ↓
2022/09/10 記事 ナン・シェパード(Nan Shepherd)『いきている山』(The Living Mountain) 邦訳がついに刊行される予定!