突然来た「電力需給逼迫」これが我々の住んでいるリアルな世界だ
脱炭素社会というスローガンが叫ばれて久しい。優秀なハイブリッド技術をもつ日本の自動車業界ですらEV転換の世界的潮流に迎合せざるを得ない状況だ。しかし、どうやらエネルギーの脱炭素化を進めればそれで解決という単純な話ではなさそうだ。この手の話は政治的な議論になりそうなので、その方向での議論は避けるが、少し前に、バーツラフ・シュミルの著書「Numbers Don’t Lie: 世界のリアルは「数字」でつかめ!」を読む機会があり「エネルギー問題」が根深い問題であると認識していたので、このたび突然来た「電力需給ひっ迫」には思うところが多かった。
著者のバーツラフ・シュミル氏の研究領域は広いが特にエネルギーについて詳しい。氏によると「自然」エネルギーも実は大量の炭素燃料消費を必要としていたり、環境負荷が少なく高効率な理想的なエネルギーを生み出すブレイクスルーとその実用化の道のりは期待薄であったりすることが述べられている。いずれ人々はエネルギーの転換よりもエネルギーの総量の節約つまり「省エネ」が大事だという結論に直面せざるを得なくなるかもしれない(これが共通認識になるのにあと何年かかるか分からないが…)
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省エネのためのRust(ラスト)
ところで、最近、私はRustというプログラミング言語を新たに学びはじめたところである。もともとの動機は、Stack Overflowの開発者調査で6年連続「最も好きな言語」に選ばれているという話や、C++並みの速度でメモリ管理がセキュアだという利点に惹かれてであるが、フレンドリーな言語かというととんでもない。(Rustのコミュニティは大変フレンドリーだそうだが…)正直言って相当難関なプログラミング言語といえる。Pythonが高尾山だとしたら、Rustは富士山だというとこのイメージが伝わるだろうか。 最近日本語版第2版がでたオライリーの本(通称「カニ本」)が網羅的で素晴らしいが、Pythonができる人ならば、クジラ飛行机氏の「手を動かして考えればよくわかる 高効率言語 Rust 書きかた・作りかた」(ソシム)がPythonと比較しながらRustの特徴をつかむことができておススメだ。
著者のクジラ飛行机氏といえば日本語プログラミング言語「なでしこ」の作者で有名であるがそんなウィザードをして挫折しかかったと言わしめるRustはまことに「恐ろしい子」である。
まだ私のRustは1合目付近をウロウロしている状態かもしれないが、私の過去を振り返れば、柴田淳氏の「みんなのPython」の初版が出たときに買ってすぐに勉強を始めたから、Pythonで簡単なWebアプリをちゃちゃっと作れる今があるわけで、こういうものに取り組み始めるのは早い方がよいに越したことはない。(その当時のPythonのマルチバイトの文字コード処理は実に酷くて苦労もしたので後で学んだ人はちょっとうらやましい気もするが…)
話を「電力需給逼迫」に戻そう。このRust。開発者から好まれている理由のひとつに「省エネ」という点があるらしい。当然かもしれないが、処理速度が速いイコール無駄な計算をしない(つまりCPUの電力を消費しない)から速いのである。以前、C言語の世界から、JavaやPythonが生まれた背景には、マシンのメモリ容量やCPUの処理速度の向上が容易に実現されたことから、リソースの節約よりもコーディングの少なさや再利用性の高さに関心が移ったことがあったが、今後はむしろ「省エネ」面での評価が重要になってくるのではないかと勝手に未来予想している。Rustで書くことには苦労を伴うが、地球環境にやさしいと思えば良いことをしている気分にもなる。ひょっとしたらセキュリティ面、省エネ面も含めRustで実装することを案件で指定されるのが当たり前の世の中が訪れるかもしれない。そうなった世界で私はまだITエンジニアとして戦えるだろうか。いまRustに取り組むか否かがその分水嶺になるかもしれないという予感はしている。
↓ 最後に、こちらがオライリーの「カニ本」である。第2版とあるのが新しい方なのでご注意してほしい。
Amazonのアソシエイトとして、ノカミシステム(野上智史)は適格販売により収入を得ています。
ちなみにこちらが私が初めて購入したRUST本。リファレンス的ではなくメリハリをつけた構成。下記書影のリンクのとび先である翔泳社直販サイトの「SEShop」から購入するのが一番お得かもしれない。普段からポイント率が良いし、たまにキャンペーンをやっている時があるのでアカウントを取っておいて損はないだろう。(ついついたくさん買ってしまうのだがが…)
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技術書についての話題では、こちらの記事もご参照を
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2022/05/27 No Starch Press という出版社を知っていますか?

